この日の夕方、私はJTさんと２人でじっくり話す機会を得ました。

今回の公演では勇気を持って自分の生い立ちに付いても触れて話をしたそうです。

公演を聞いた私にもその席で更に詳しい話をしてくれました。

自分が脳性麻痺であること
病院の医師が病状について何も話してくれず
母親が沢山の病院を回っても娘の病名すら判らない中、
最後にカルテをのぞき込んで脳性麻痺という病名を知った後も、
書店の医学書では詳しい情報も得られなくて苦労したこと。

小学校、中学校と母親の考えで養護学校ではなく普通校へ通ったこと。
通学や教室の移動には母親がJTさんをおんぶしたこと。
中学の３年になってからは受験競争の中JTさんがイジメの対象になったこと。
そして精神的ショックで手まで動かなくなった時の話。
さらに音大への進学をあきらめて労働省の職業訓練校へ入校したこと。

しかし話を聞きながら、質問するためにしきりに言葉を選んでいる自分がそこにいました。JTさんがありのままを話してくれる中、質問をしようにも適切な言葉を見つけられないでいるのです。

もしかしたらこの質問は大変失礼な事ではないのか？
この言葉は差別的意味を含んでいるのではないのか？
　

私がJTさんの自身の障害を１つの個性としてとらえ、真正面から話し合う事が出来たのはこれから８カ月先の事です。